
FXは、24時間トレードできることが魅力のひとつですが、それゆえに気を付けなければいけないこともあります。
その最たるものが、アメリカ時間(日本の夜の時間帯)に発表される、いくつかの重要な経済指標の発表です。
FXトレーダーは、基本的にチャートを唯一の判断材料としてトレードしていますが、重要指標が発表されるタイミングだけは、チャートはまったくと言っていいほど役に立ちません。
指標発表の前までは機能していたサポートレジスタンスラインや移動平均線も、指標発表の内容次第では、簡単に「ぶち抜かれて」しまうからです。
FX初心者は経済指標に注意してトレードしましょう!
僕は基本的にはアメリカの重要な経済指標が発表されるタイミングではトレードをしません。
なにしろ、指標が発表されると同時に、為替レートは上下どちらに「すっ飛んで行く」か分からないからです。
先ほども書いたように、「チャートが機能しない」状況では、何を根拠としてトレードしていいのか分からないですし、分からないのにポジションを取るということは、「ギャンブルをしているのと同じ」だとも言えます。
FXトレーダーの中には、あえて指標が発表の前に「山を張って」ポジションを持つ「ギャンブラー」もいます。
もし山が当たったら一瞬のして大金を稼げる感覚がきっと快感なんでしょう。
FXを頭からそういう対象として捉えている人が、リスクを承知の上でする分には別に構わないとも思いますが、健全なトレーダーは普段、普通に稼げるわけですから、わざわざリスクを背負ってギャンブルをする必要はないと思います。
ということで、FXのトレードをする際にはアメリカ時間に相場の流れを一変させる重要な経済指標の発表があることと、そのタイミングではなるべくポジションを持たないことを心掛けましょう。
注意しておくべき経済指標
FXトレーダーが注意すべき経済指標には以下のようなものがあります。
- 雇用統計
- ADP民間雇用レポート
- 小売売上高
- 消費者物価指数(CPI)
- 中古住宅販売件数
- ISM製造業景気指数
- ISM非製造業景気指数
- GDP(米国)
こうして並べてみると、「いろいろあり過ぎて、覚えていられない」と感じるかもしれませんが、ここに挙げた指標発表はすべて月に1回しかないので、チェックすることがそこまで負担になることはありません。
では、それぞれをどういったものを表すデータなのか見ていきましょう。
雇用統計
発表時期 | 毎月第1金曜日 |
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内容 | アメリカの景気を占う最重要指標。 発表される数字によっては為替相場が大きく動くことから、それを狙ったFXトレーダー群がる「お祭り」的な側面がある。 |
アメリカの雇用統計は、アメリカ国内の景気を表す最重要指標であると同時に、為替市場に最もインパクトを与える「FXトレーダーにとってのイベント」でもあります。
僕は基本的には雇用統計でのトレードはやらないんですが、それでも年に数回ぐらい「気が向いた時」にトレードすることもあります。
あまりやらないわりにはトレード成績は良くて、「雇用統計トレード」の収支は大きくプラスとなっています。
コツは、「雇用統計の発表があるまではポジションを持たないこと」と「最大許容損失額をあらかじめ決めておく」ことです。
そして、上下どちらかにロウソク足が伸び切るのを待って、その逆張りをします。
また、ロットは細かく分けて、もしレートに逆を行かれても、「買い下がり or 売り上がり」で逃げ道を作れるようにします。
間違っても「一点張りしたあとは祈るだけ」といったギャンブルはやめましょう(笑)
ADP民間雇用レポート
発表時期 | 雇用統計の2日前の水曜日 |
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内容 | 最大の「イベント」である雇用統計の2日前に、民間の会社が行う雇用に関す調査レポートです。 |
多くのFX関連サイトでは、ADP民間雇用レポートについて「非常に重要な指標」と書いてありますが、個人的な印象としては、ADPが発表するデータと実際の雇用統計のデータが大きく違ってくることも多く、はっきり言って「あてにならない指標」だと、トレーダーの立場からは感じています。
なので、単純にADP民間雇用レポートの数字を参考に、雇用統計のトレードに臨むことは控えた方が良いと思います。
小売売上高
発表時期 | 毎月中旬 |
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内容 | アメリカでは個人消費がGDPの約70%を占めるので、個人の消費活動は景気の「今後」を予想するための大事な指標です。特にウエイトの大きい「自動車と関連部品」を除いた「コア」の数値に注目が集まります。 |
小売売上高もトレーダーとしてはやっかいな指標というか、かなりレートが動くので気を付ける必要があります。
雇用統計と同じように、僕は小売売上高の発表がある時はポジションを持たないようにしています。
消費者物価指数(CPI)
発表時期 | 毎月中旬 |
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内容 | 物価の動向を、小売りやサービスの価格から調べる指標で、アメリカ国民の生活水準、さらにはインフレ率を判断するための重要な指標となっています。 |
中古住宅販売件数
発表時期 | 毎月下旬 |
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内容 | アメリカにも「新築住宅着工件数」という指標がありますが、日本と違い、アメリカでは中古住宅市場が新築市場よりずっと大きいので、「中古住宅販売件数」の数字がより注目されます。 |
ISM製造業景気指数
発表時期 | 毎月第1営業日 |
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内容 | ISM(Institute for Supply Management=全米供給管理協会)が実施するアンケート調査です。 300以上の企業の購買担当者に対し、「新規受注、生産、雇用、入荷状況、在庫」などの項目について質問し、その回答から指数を算出しています。 |
ISM非製造業景気指数
発表時期 | 毎月第3営業日 |
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内容 | 非製造業を対象とした景気動向指数で、調査方法は上記の「ISM製造業景気指数」とほぼ同じです。昔に比べ「非製造業」の指数は、近年より注目されるようになってきています。 |
GDP(米国)
発表時期 | 毎月下旬 |
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内容 | アメリカの中長期の景気の判断をする指標です。GDPそのものは四半期ごとに発表されますが、GDPの速報値・改定値・確定値が毎月発表されます。 |
FOMC
発表時期 | 6週間ごと年8回 |
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内容 | FOMCは、アメリカの金融政策を決める重要な会合のことで、日本では「連邦公開市場委員会」と訳されます。 政策金利(FF金利)はFOMCで決定されます。 |
経済指標ではありませんが、FOMC(Federal Open Market Committee)も、相場を大きく動かすイベントなので必ずスケジュールをチェックしておく必要があります。
トレーダーがFOMCで特に注意すべきなのは政策金利に変更がある場合です。
利上げ、もしくは利下げがあると予想されている場合、市場は事前にそれを織り込んでしまうので、仮に市場の予想と違う数字が発表された際には、「その差分」をマーケットが埋めに行くことで、為替レート、株価ともに大きく変動することになるので注意が必要です。
日銀金融政策決定会合
発表時期 | 年8回 |
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内容 | 金融政策に何らかの変更が予想される際には世界中から注目される。 |
僕と同じように、東京時間をメインにトレードしているトレーダーにとって、最も気付けないといけないのが日銀の金融政策決定会合です。
日本の経済指標は、基本的に為替市場に大きな影響を与えるものが少ないことから、東京時間にトレードするトレーダーは、つい「指標発表や金融政策のスケジュール確認を怠りがち」です。
また、実際に日銀の金融政策決定会合ですら「無難に通過」することが多いのですが、それでも、いつ「黒田バズーカ」のようなサプライズが飛び出さないとも限らないので、会合がいつ開催されるかだけは確認するようにしておきましょう。
まとめ:アメリカの経済指標に一喜一憂する為替市場
ところで、なぜアメリカの経済指標の発表がこれほどまでに為替市場に影響を与えるのか?
それは、アメリカの雇用統計や小売り売上高といった「一国の景気を占う経済指標」が、世界経済そのものを変えてしまうほど、アメリカという国の経済規模が大きいからです。
アメリカの経済指標の数字次第で、世界経済のファンダメンタルズが変わってしまうので、指標発表と同時に「為替市場はそのファンダメンタルズを織り込みに行く」という現象が起きます。
そして、それを「一攫千金のチャンスと捉えるトレーダーたちが一喜一憂する」のが「FXのひとつの光景」にもなっています。
繰り返しになりますが、僕は基本的には重要な経済指標の発表がある時にはポジションを持たないように心掛けています。
発表される指標の数値が誰にも分からない以上、それに賭けるのはあまりにギャンブル的過ぎるからです。
また経験上、「ギャンブル的なトレード」には中毒性があるというか、その刺激がクセになるところがあるように感じます。
そういった意味でも、FX初心者に方は、経済指標発表時のトレードにはくれぐれもご注意いただきたいと思います。
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