FXの税金は海外業者と国内業者で違う!【それぞれ一長一短あり】

時々、僕のところに寄せられる質問を見ていると、海外FX業者と国内FX業者で税金の扱いが同じだと勘違いされてる方が意外と多いんですよね。

元先物トレーダー麦 恵成ファイナンシャルプランナー
麦 恵成

僕は、FXのトレードに国内業者と海外業者の両方を使っていると同時に、ファイナンシャルプランナーでもあるので、今回は「海外FX業者と国内FX業者で税金の扱いが違う」ということについて、分かりやすくお話ししたいと思います。

確かに、「同じFXで得た利益なので、税金の扱いも同じだと考える方が普通」だと言うこともできますけどね。
それにもかかわらず、「どうして海外FX業者と国内FX業者の課税方式に違いがあるのか?」ということから、まずは見ていきましょう。

FXの税金は海外業者と国内業者で扱いが違う!

FXの税金は海外業者と国内業者で扱いが違う!

税金の話となると、とたんに頭が痛くなるのは僕だけではないでしょう…。FPの僕でさえそうなんですから、普段、税金のことなんてあまり考えない会社員の方ならなおさらだと思います。

なので、出来るかぎり難しい専門用語は使わずにお話ししていきたいと思います。

元先物トレーダー麦 恵成ファイナンシャルプランナー
麦 恵成

まず、結論から先に言ってしまうと、「国内FX業者は申告分離課税」で、「海外FX業者は総合課税」という扱いになります。このことを頭に入れておいてください。

国内FX業者とは、DMM FXGMOクリック証券といったよく聞く名前のところですね。
一方、海外FX業者とは、XMとかiFOREX、TAITANといった、もしかすると聞き馴染みのないかもしれない業者のことです。

申告分離課税は一律20%【国内FX業者の場合】

基本的に税金とは、僕たちが儲けた金額に応じて課税対象額が変わってきます。

ひらたく言えば税務署は、

税務署の役人税務署の役人

あんたこんなに儲けたんだから、そのぶんいっぱい税金払ってくださいよ。

という感じで、「たくさん儲けた人にたくさん税金を払ってもらう」というのが原則なんですね。

基本的にはそうなんですが、これが、

元先物トレーダー麦 恵成ファイナンシャルプランナー
麦 恵成

株とか投資で得た利益に対してどうなるかというと、「雑所得の中の申告分離課税」というのが適用されるんですよね。
で、この投資で得た利益に対する申告分離課税は、儲けた金額に関係なく一律20%なんです。

国内のFX業者には、これが適用されていて、要するに「国内FX業者を使った取引は投資行為にあたる」と、国が認めているということなんです。

総合課税の累進課税【海外FX業者の場合】

それに対して、累進課税というのは、税金の基本の「儲けたぶんだけ税金を払う」という方式です。

元先物トレーダー麦 恵成ファイナンシャルプランナー
麦 恵成

累進課税だと、利益がすくなかった年は納める税金もすくなくて済む一方、大きな利益を出した年は、納めないといけない税金もそのぶん大きくなる、ということです。
海外FX業者はこれなんですよね。

でもって、総合課税で海外FX業者を分類した国は

税務署の役人税務署の役人

海外FX業者を利用した取引を投資行為とは認めてない。

ということでもあるわけなんです。
なので、国内FX業者だと申告分離課税で最大20%の税率が適用されるのに、海外FX業者だと投資とは認められず雑所得の総合課税として扱われてしまいます。

ということは、シンプルに税金のことだけで言うと、「FXで儲けた金額が小さいうちは総合課税の海外FX業者が得で、利益がある金額を超えると申告分離課税の国内FX業者が得」ということが言えます。



金融庁があえて海外FX業者と国内FX業者を区別している

金融庁があえて海外FX業者と国内FX業者を区別している

ではなぜ金融庁は海外FX業者と国内FX業者を「区別」しているのでしょうか?

これもひと言で言ってしまえば、

元先物トレーダー麦 恵成ファイナンシャルプランナー
麦 恵成

金融庁の認可をとった「国内FX業者」と、金融庁の認可を取らず勝手に日本で商売してる「海外FX業者」に、あえて見せしめ的に差をつけてる。

というのが実際のところです。

まぁ、もともとFXが始まった当初は、国内FX業者も、今の海外FX業者と同じで「雑所得の総合課税」だったんですけど、金融庁の認可を取ろうとしない海外FX業者と「区別」するために、「国内FX業者を使った取引については投資行為として認めてあげる」と「格上げ」してもらったということなんです。

すこしだけ、専門的な話をすると、

平成27年の税制改正で、海外業者は「総合課税されることが明文化」されたんですよね。

税務署の役人税務署の役人

「租税特別措置法」の、「第37条の12の2 第二項第一号に規定する金融商品取引業者を相手方にして行うものに限る」

と追加されました。
つまり、金融庁に登録している業者(要するに国内業者)だけが対象で、海外業者で得た利益は申告分離課税にならない。
総合課税の雑所得に当たるので、「一律20%の適用ではなく、最大55%の税金がかかる」ということなんです。

付け加えると、総合課税の雑所得は、雑所得以外の所得と損失を相殺することはできません。
ということは、国内FX業者と海外FX業者の損益を合算することはできないということです。

金融庁や税務署としては、

税務署の役人税務署の役人

レバレッジ25倍までという日本の法律を守らないで商売してる海外FX業者を優遇なんてしてやらない!
だから、自分たちの言うことを聞く国内FX業者を格上げしてやった。

というのが、正直な胸のうちなんでしょう。

年間の利益330万円が、海外FX業者と国内FX業者の分岐点

年間の利益330万円が、海外FX業者と国内FX業者の分岐点

では実際のところ、FXトレーダーにとって、国内FX業者と海外FX業者のどちらが有利なんでしょうか?

この議論について語り出すと、いろいろな要素が絡み合ってくるので、一概には言えないんですけど、ここではとりあえず「税金にしぼって」、比較してみることにしましょう。

先ほどからお話ししているように、国内FX業者は申告分離課税。海外FX業者は総合課税(累進課税)なので、ポイントはあなたが年間にFXで稼いだ金額によって決まります。
次の表をご覧ください(※ 住民税を含めた税率です)。

海外FX業者 国内FX業者
195万円以下 15% 一律20%
330万円以下 20%
695万円以下 30%
900万円以下 33%
1000万円以下 43%
1800万円以下 43%
4000万円以下 50%
4000万円以上 55%

元先物トレーダー麦 恵成ファイナンシャルプランナー
麦 恵成

ということなので、その年のFXで得た利益が「330万円を超えるかどうか」が税率で得をするか損をするかの分岐点となります。

じゃあ、年間の利益が330万円以下の人は海外FX業者を使い、330万円以上ある人は国内FX業者を使えばいいのか?
と思ってしまいがちですけど、実際は税金だけが評価の基準ではないのが悩ましいところですよね。

海外FX業者と国内FX業者には税金以外のメリットデメリットもある

税金面以外の海外FX業者と国内FX業者の違いについて書き出すと、それだけで何千文字にもなってしまうので、詳しくは僕のもうひとつのFXサイトに書いた「知らないと損をする!国内FX業者と海外FX業者の違い」を参考にしていただければと思います。

ただ、結論だけ言ってしまうと、

元先物トレーダー麦 恵成ファイナンシャルプランナー
麦 恵成

国内と海外の両方のFX業者でトレードしている者として、スリッページ(クリックしたはずのレートで約定せず滑る現象)の発生は、海外FX業者の方がすくない印象で、一方、大金を預ける際には国内の業者の方が安心感があったり、その他にもいろいろあって、まさに「一長一短」で一概には判断できません。

なお、FX全般の税金に関しては、「FXの税金をやさしく解説!認められる経費で課税額を抑える!」をご覧ください。